[P-151]ランダム群集モデルにおける多種共存解と種の豊富さのパターン
発表者(所属) 大阪大学サイバーメディアセンター大規模計算科学研究部門 要旨 ランダム群集モデルに対する、May(1972)による全種共存解の安定・不安 定転移の理論は、現在に至るまで生態学に大きな影響を与え続けている。 一方、このMayの研究に基づく「複雑さ及び多様性と安定性の相反関係」 は、巨大な群集の相互作用を全く相関のない非対称ランダム行列と仮定 することの限界を示しているともいえる。進化を通じて「自然のバランス」 が作り上げてきた「相関」を見いだすための理論的アプローチを報告する。 特に、Mayが扱った非対称行列以外のランダム行列群に注目することに より、複雑な群集においてもある種の安定性が保たれながら多種共存が 実現される場合があることを示す。さらに、様々な群集で実際に観察され る個体数の豊富さのパターンのパラメータ(群集の成熟の度合い、群集 における生産者の割合および種間相互作用の複雑さなど)依存性に対する ランダム群集モデルの理論を示す。