[P-152]変動環境下での保全戦略 :最適保全努力と最適調査努力
発表者(所属) 横溝裕行(九州大学大学院理学府生物科学専攻), Patsy Haccou (Leiden University), 巌佐庸(九州大学大学院理学研究院) 要旨 絶滅の危険のある個体群に対しての保全政策を考えるとき、環境変動による生存率の変動、個体数などの不確実性に対処していかなければならない。 本研究は、このような不確実な状況下で、どのように保全政策を決定すればいいのか数理モデルを用いて考察を行った。 生存率に確率的なノイズが加わる個体群について、最適な保全努力量と調査努力量を考える。保全努力量を増やせば絶滅リスクは減らせるが、経済的なコストを伴う。また、個体数調査はコストがかかるが、個体数をより正確に知ることができ、効果的な保全を行うことができる。 そこで、絶滅確率に個体群の価値をかけたものと保全努力や個体数調査の経済的コストの和を全コストと定義し、これを最小にするような最適な保全,調査努力量を求めた。数理的解析により主に以下のことが明らかになった。[1]、最適保全努力量が中程度の環境変動の大きさで最も大きい。 [2]、年により個体数が大きく変動する場合や、環境変動が小さい場合に最適調査努力は最大となる。