[P-153]脊椎動物の視細胞の多様化と光情報伝達系タンパク質のアイソフォーム
発表者(所属) 久冨修、山本慎太郎、徳永史生(阪大・院理) 要旨 我々は、明るいところでも暗いところでも物体を見ることができるし、色を識別することもできる。それは、少しずつ性質の異なる複数種の視細胞が網膜内に存在することによるものである。光により、視細胞に存在する酵素カスケード(光情報伝達カスケード)が活性化され、細胞膜の電位変化が生じる。我々は、このカスケードを担う十数種の機能性タンパク質(光情報伝達系タンパク質)群を一つの”システム”としてとらえ、分子系統の解析と性質の比較を行った。その結果、これらタンパク質には遺伝子重複により生じた複数種のアイソフォームが存在し、それらが少しずつ異なる性質を持つことを示した。脊椎動物の視細胞の多様化には、これらアイソフォームの存在とその発現調節が重要な役割を果たしていると考えられる。また、各アイソフォームの発現には基本となるパターンが存在するが、それは生息環境に合わせて動的に変化していることが示唆された。