[P-159]エゾヤチネズミ自然集団の DNA 多型解析
発表者(所属) 金子聡子・高橋亮(理化学研究所ゲノム科学総合研究センター個体遺伝情報研究チーム) 要旨 野生齧歯類の中には,個体数が周期的な変動を示し,数年毎に大量発生を繰り返す集団が知られている.中でも,北海道に棲息するエゾヤチネズミ Clethrionomys rufocanus については,長年に渡る林学的,生態学的な調査の結果,野生哺乳類としては例外的に豊富な長期集団動態の時系列情報が蓄積されており,個体数変動を引き起こす生態要因が詳細に調べられている.個体数の経時変化に関する先験的な知見の下で集団動態と集団内変異とを関連付けた研究例は少なく,エゾヤチネズミ集団の詳細な多型解析は,野生生物集団における遺伝的な多様性の維持機構を理解し,自然界における生物機能システムの進化的な成立ちを解明する上で新しい知見をもたらすものと期待される.