[P-160]重複遺伝子の進化機構
発表者(所属) 牧野 能士 , 鈴木 善幸 , 五條掘 孝(遺伝研・生命情報・DDBJセンター) 要旨 遺伝子重複はその産物の非対称な進化により新しい機能を持つ遺伝子を産生すると言われており、重複遺伝子の進化機構を研究することは興味深い。我々は酵母における重複遺伝子の進化機構の解明を目的として分子進化と機能分化の両面から解析を行った。酵母の遺伝子の一つ一つをその欠失株の適応度から可欠、不可欠に分類すると、比較した重複遺伝子ペアのうち両方とも不可欠なものは殆どなく、可欠・不可欠ペアもしくは可欠・可欠ペアであった。また共有相互作用蛋白質、共有機能を持たない重複遺伝子ペアでは進化速度比が大きく、とりわけ不可欠・可欠ペアの方が可欠・可欠ペアよりも進化速度比が大きいことが示された。可欠・不可欠ペアにおいては可欠遺伝子の進化速度が速く発現量が低かったのに対し、可欠・可欠ペアでは可欠・不可欠ペアほどの違いは見られなかった。以上のことから、重複遺伝子の非対称な進化は可欠・不可欠ペアに特異的だと考えられた。